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2019年6月 9日 (日)

天使の梯子が空に

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今日は、栃木の塩谷町まで日帰りで行ってきました。取引先であり友人である女性がなくなったと連絡があったのです。
私達が物作りを始めた頃、鎌倉の店に偶然立ち寄り、作っているものをとても気に入ってくださり、自分の店で売りたいと声をかけてくださった人です。まだ卸などしていなかった私達にとっての、初めての取引先でした。
それから私達は塩谷町まで出向き、ユニークな彼女の暮らしぶりに魅せられ、とても楽しい気分になりました。元気で快活な彼女の家には、近所の女性達が次々と顔を出し、彼女の子供や猫や犬がごちゃごちゃと暮らしています。彼女はいつも私がデザインしたワンピースを着て、それがまた独特のセンスで素敵でした。
印象に残っている着こなしがいくつかあります。ある日、彼女はスカートが二重になっているジャンパースカートを着ていたのですが、上のほうのスカートにジャガイモをいっぱい抱えて、「便利よ」と満面の笑み。またある時は虫が食って穴が開いたセーターを着ていたのですが、それを「虫のごはんになった」と言って、愛おしそうにしていたのです。それがいかにもカッコよくて、服を着ることの意味を教えて貰ったと思いました。
震災後、塩谷町は福島からの廃棄物の処分場候補地になり、彼女の家族の暮らしぶりは一変してしまいました。そんな中でも、彼女は健気でおおらかでユーモアを失わず、一生懸命働いて、敬虔なクリスチャンでした。何度か大病をして、健康がすぐれないことも多かったのですが、お見舞いに行くと、「まだ神様が来ちゃダメだって」と言うのです。「私はもう、いつでも神様の元に行く準備はできているのよ」と話していた彼女ですが、それは残された者へのやさしさでもあったのでしょうね。

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